デジタルプロダクトパスポート(DPP)とは?対象・データ・準備手順
デジタルプロダクトパスポート(DPP)は、製品にひもづく持続可能性・循環性・適合性などの情報を、データキャリアから関係者が参照できるようにする仕組みです。すべての製品へ同じ日・同じ項目で一斉導入される制度ではなく、製品別ルールを確認します。
QRコードを付けることではなく、製品データを信頼できる形でつなぐ
DPPは、製造、販売、使用、修理、再利用、リサイクル、当局の市場監視などで必要な情報を、製品・型式・バッチなど所定の粒度へ結び付けます。QRコード等のデータキャリアは入口であり、情報の意味、更新、アクセス権、真正性、製品との対応が重要です。
原材料由来・含有製造工程・適合販売製品識別使用・修理耐久・部品・手順回収・再資源化分解・再生材
製品群ごとの委任法令で対象・項目が具体化する
EUのESPR(持続可能な製品のためのエコデザイン規則)はDPPの枠組みを設けましたが、具体的な対象製品、情報項目、データ粒度、適用時期は製品群ごとの委任法令などで定まります。「ESPRが発効したから自社の全製品が直ちにDPP対象」とは限りません。
| 制度・製品 | DPPとの関係 | 確認点 |
|---|---|---|
| ESPR | 幅広い物理的製品のエコデザインとDPPの基本枠組み | 作業計画、製品別委任法令、適用日 |
| EU電池規則 | 一定のEV・LMT・産業用電池にバッテリーパスポート | 2027年2月18日の開始対象、容量・用途・役割 |
| 個別製品ルール | 繊維等、優先製品群ごとに要件を具体化 | 対象分類、必須データ、更新・保存、アクセス |
データの所有部署と証拠を対応させる
| データ例 | 主な社内・取引先の情報源 | 品質確認 |
|---|---|---|
| 製品・事業者識別 | 品目マスター、ロット、事業者・施設情報 | 製品と一意に結び付くか |
| 材料・化学物質 | BOM、仕入先宣言、試験、規制対応 | 版、対象範囲、閾値、証拠 |
| 環境・循環性 | 排出、再生材、耐久性、修理可能性 | 方法、単位、境界、検証 |
| 使用・修理 | 取扱説明、部品、分解、ソフト更新 | 対象モデル、言語、最新版 |
| 適合・認証 | 試験成績、適合宣言、監査 | 発行者、有効期間、製品範囲 |
機密情報、消費者向け情報、修理事業者向け情報、当局向け情報は公開範囲が同じとは限りません。「透明性」を理由にすべて公開するのではなく、法令上のアクセス権と営業秘密・個人情報を両立させます。
製品別ルールが出る前に整えること
- 製品分類を確認EUでの製品群、型式、部品、電池など対象候補を整理する
- データ地図を作る項目、所有部署、仕入先、システム、証拠、更新頻度を結ぶ
- 識別単位を決めるモデル・バッチ・個体のどこで情報が変わるかを把握する
- 不足を取引条件へ反映仕入先の提供項目、形式、検証、変更通知を合意する
- 試験運用する一製品でデータ作成・照会・更新・終了まで通す
- 製品別法令を追う委任法令・標準・ガイダンスの確定後に差分を更新する
DPPはサステナビリティ報告書を製品ページへ転載する作業ではありません。製品単位の情報を、調達・設計・製造・修理・回収の業務データへ戻す仕組みとして設計します。
参考情報
- European Commission “Ecodesign for Sustainable Products Regulation”
- European Commission “ESPR working plan”
- European Commission “Batteries”
最終確認日: 2026年8月31日。自社製品の対象・時期・必須項目は製品別の確定法令で確認してください。
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