人権デューディリジェンスとは?企業が進める6段階と取引先調査
人権デューディリジェンスとは、企業活動による人権への負の影響を特定・評価し、予防・軽減し、取組の実効性を追跡して説明する継続的なプロセスです。質問票を一度送ることや、取引先へ責任を移すことではありません。
法的義務の扱い
経済産業省の「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」自体に法的拘束力はありません。ただし、事業地域・取引・開示先によって適用法令や契約上の要求が異なります。
規模・業種を問わず、自社の影響を確認する
人権への影響は、自社が直接引き起こす場合だけでなく、取引関係を通じて事業・製品・サービスと直接結び付く場合もあります。従業員、派遣・請負、サプライヤー、地域住民、顧客など、影響を受ける人の視点で確認します。
| 領域 | 影響の例 | 確認する証跡 |
|---|---|---|
| 労働 | 長時間労働、賃金、安全衛生、結社 | 勤怠、賃金、安全記録、相談 |
| 採用・処遇 | 差別、ハラスメント、採用手数料 | 基準、記録、苦情、是正 |
| 調達 | 強制労働、児童労働、移民労働者の負担 | 供給経路、契約、現場確認 |
| 製品・サービス | プライバシー、表現、安全、脆弱な利用者 | 設計、試験、苦情、事故 |
| 地域・環境 | 土地、水、生活、安全への影響 | 対話、許認可、苦情、補償 |
人権DDの6段階
1 方針責任と期待を明示2 特定・評価実際・潜在的影響を把握3 予防・軽減業務と取引へ組み込む4 追跡実効性を指標と対話で確認5 説明影響と対応を伝える6 救済被害回復と再発防止
この流れは一度で終わりません。新規国・商品・委託、買収、苦情、事故、法改正などを契機に再評価します。救済はDDの外側ではなく、企業が影響を引き起こした・助長した場合の対応として準備します。
発生可能性だけでなく深刻度を重視する
- 規模:生命、健康、生活、権利へどの程度大きな影響か
- 範囲:何人・どの地域へ影響するか
- 回復困難性:元の状態へ戻すことが可能か、時間がかかるか
- 脆弱性:声を上げにくい人、移民、子ども等への影響があるか
取引金額の大きさや監査しやすさだけで優先順位を決めません。重大な影響が複数ある場合は、まず深刻度を基準に着手し、資源制約と対応順を説明します。
質問票から対話・改善・救済へ進める
- 目的を伝える選別だけでなく、影響把握と共同改善のためと説明する
- 負担を絞るリスクに応じた質問と証跡を選び、重複提出を減らす
- 回答を検証する方針の有無だけでなく、実施・苦情・是正の例を確認する
- 改善を支援する期限、責任者、支援、フォロー方法を合意する
- 終了判断を慎重にする取引停止が労働者へ及ぼす影響も評価する
依頼文と回答欄はサプライチェーン調査依頼を参照してください。
参考情報
最終確認日: 2026年8月27日。進出国・取引先・開示先に適用される法令と契約を確認してください。
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