ROIC・WACCとは?計算例とROICスプレッドの読み方
ROICは事業に投じた資本から税引後営業利益をどれだけ生んだか、WACCは株主・債権者が資金提供に求めるコストを加重平均した指標です。ROICがWACCを継続的に上回るかを見ると、事業が資本コストを超える価値を生んでいるかを検討できます。
利益・資本・資金提供者を対応させる
NOPATは税引後営業利益、投下資本は事業に投じられた有利子負債と株主資本などを基に計算します。ただし、現預金、のれん、リース、税率、期首・期末平均をどう扱うかは企業ごとに異なります。社内管理では、名称より先に算定式と対象事業を明示します。
ROIC 8%、WACC約5%の例
NOPATが80億円、平均投下資本が1,000億円ならROICは8%です。資金構成を株主資本600億円・株主資本コスト7%、有利子負債400億円・負債コスト3%、実効税率30%とすると、WACCはおよそ5.0%になります。
ROIC80 ÷ 1,0008.0%WACC60%×7% + 40%×3%×(1−30%)約5.0%スプレッド8.0% − 5.0%+3.0pt
プラス3ポイントだから直ちに投資を増やす、マイナスだから直ちに撤退する、とは限りません。将来の成長投資では初期にROICが下がることがあり、WACCも金利・市場・リスク認識で変わります。複数年の見通し、戦略的重要性、キャッシュフローと合わせて判断します。
ROICを売上・利益率・資本回転へ分解する
ROIC売上高営業利益率価格、商品構成、原価、販管費投下資本回転率在庫、売掛金、設備、遊休資産
| 課題 | 確認する数字 | 施策例 |
|---|---|---|
| 利益率が低い | 粗利率、営業利益率、顧客・商品別採算 | 価格、商品構成、調達、業務設計を見直す |
| 資本が滞留 | 在庫日数、売掛金回収、設備稼働 | 需要予測、回収条件、資産利用を改善する |
| 資本コストが高い | 事業リスク、財務構成、情報開示 | リスク低減、資金構成、対話を検討する |
費用を削るだけで一時的にROICを上げると、研究開発、人材、保守が不足し、将来の利益や安全性を損なうことがあります。改善指標には顧客、品質、安全、成長投資のガードレールも置きます。
ROE・P/Lとの違い
| 指標 | 分子・分母の焦点 | 主な用途 |
|---|---|---|
| ROIC | 税引後営業利益 ÷ 事業投下資本 | 事業・部門の資本効率 |
| ROE | 当期純利益 ÷ 自己資本 | 株主資本に対する収益性 |
| 営業利益率 | 営業利益 ÷ 売上高 | 売上に対する本業利益の割合 |
日本取引所グループは2026年4月、「資本コストや株価を意識した経営」の開示企業一覧を更新しています。経済産業省の「成長投資ガイダンス」は2026年6月時点で案として公表された資料であり、確定版と混同しないようにします。
参考情報
最終確認日: 2026年8月31日。社内・他社比較では、ROIC・WACCの定義、対象期間、税率、資本範囲をそろえてください。
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