損益計算書(P/L)とは?5つの利益と読み方を数値例で解説
損益計算書(P/L)は、一定期間にどれだけ売上を上げ、何に費用を使い、最終的にいくら利益が残ったかを示す財務諸表です。見るときは当期純利益だけでなく、売上総利益・営業利益・経常利益へ順に分解し、どこで増減したかを確かめます。
売上から費用を段階的に差し引く
P/Lは「利益が出たか」だけでなく、本業の商品力、販売・管理の効率、資金調達など本業外の影響、一時的な損益を分けて読むための資料です。会社の表示区分や会計基準によって科目は異なりますが、一般的な流れは次のとおりです。
| 利益 | 基本的な計算 | 主に分かること |
|---|---|---|
| 売上総利益(粗利) | 売上高 − 売上原価 | 商品・サービスそのものの採算 |
| 営業利益 | 売上総利益 − 販売費及び一般管理費 | 人件費・広告費・家賃などを含む本業の収益力 |
| 経常利益 | 営業利益 + 営業外収益 − 営業外費用 | 利息などを含む通常の企業活動の成果 |
| 税引前当期純利益 | 経常利益 + 特別利益 − 特別損失 | 臨時・例外的な損益を含む税引前の成果 |
| 当期純利益 | 税引前当期純利益 − 法人税等 | 最終的に企業へ残る期間利益 |
1,000万円を売り上げた例
ある月の売上高を1,000万円、売上原価を600万円、販管費を280万円とします。粗利は400万円、営業利益は120万円です。受取利息等10万円、支払利息等30万円なら経常利益は100万円、特別損失20万円と法人税等25万円を反映すると当期純利益は55万円になります。
1,000原価
−600販管費
−280本業外
−20特別損失・税
−45純利益
55万円
この例の売上総利益率は40%(400÷1,000)、営業利益率は12%(120÷1,000)です。前年同月と比べて売上が増えても営業利益率が下がっていれば、原価上昇、値引き、広告費、人員増など、利益を圧迫した要因を科目別に確かめます。
貸借対照表・キャッシュフロー計算書との違い
| 財務諸表 | 表すもの | 問い |
|---|---|---|
| P/L(損益計算書) | 一定期間の収益・費用・利益 | その期間にどのように利益を生んだか |
| B/S(貸借対照表) | ある時点の資産・負債・純資産 | 何を保有し、どう資金を調達したか |
| C/F(キャッシュフロー計算書) | 一定期間の現金等の増減 | 営業・投資・財務で現金がどう動いたか |
利益と現金は同じではありません。売掛金を計上すれば売上・利益が出ても、入金前なら現金は増えません。設備購入も支払時の現金流出と、各期の減価償却費では計上時期が異なります。黒字でも資金不足になるため、P/Lだけで資金繰りを判断しないことが重要です。
どの利益が変わったかから行動を決める
| 変化 | まず確認すること | 考えられる行動 |
|---|---|---|
| 粗利率が低下 | 仕入単価、商品構成、値引き、廃棄 | 価格・調達・商品構成を見直す |
| 粗利は増えたが営業利益が低下 | 人件費、広告費、外注費、固定費 | 費用の目的と増分効果を検証する |
| 営業利益と経常利益の差が拡大 | 借入利息、為替差損益など | 資金調達・為替リスクを確認する |
| 純利益だけ大きく変動 | 資産売却、減損など一時項目 | 一時要因を除いた継続収益力を見る |
部門別・商品別P/Lでは、共通費をどう配賦したかで見え方が変わります。比較時は同じ科目定義・期間・配賦基準を使い、売上規模が違う場合は金額と利益率を併記します。投下資本に対して利益を生めているかはROICとWACCで確認できます。
参考情報
最終確認日: 2026年8月31日。実際の財務諸表は適用する会計基準と注記を併せて確認してください。