SaaS指標とは?ARR・MRR・NRR・GRR・CAC・LTVの計算例

SaaS指標は、継続課金の売上が新規契約、アップセル、ダウングレード、解約でどう変わり、顧客獲得費用を回収できるかを測るための指標群です。計算式が会社ごとに違いやすいため、数値を比較する前に対象・期間・通貨・除外項目をそろえます。

売上残高・維持・獲得効率を分ける

指標意味注意点
MRR月次の経常収益一時売上や変動従量課金をどう扱うか決める
ARR年次の経常収益単純にMRR×12とする場合も、契約額を正規化する場合もある
NRR既存顧客売上の純維持率拡張を含み、新規顧客は除く
GRR既存顧客売上の総維持率拡張を含めず、縮小・解約を見る
ロゴチャーン顧客数ベースの解約率売上チャーンと混同しない
CAC顧客1社を獲得する費用営業・マーケ費用の範囲と獲得数をそろえる
LTV顧客関係から得る価値の推計売上か粗利か、実績か予測かを明示する

期首MRR 1,000万円の例

月初の既存顧客MRRが1,000万円、アップセル等のExpansion MRRが120万円、ダウングレード等のContraction MRRが40万円、解約MRRが80万円とします。

NRR(1,000 + 120 − 40 − 80) ÷ 1,000100%
GRR(1,000 − 40 − 80) ÷ 1,00088%

この月に新規MRRが200万円あっても、NRR・GRRの計算には入れません。NRRが100%でも、拡張で解約を補っているだけでGRRが低い場合があります。顧客数、契約規模、契約年齢別のコホートも確認します。

CACとLTVは同じ顧客群・粗利基準で見る

CACは、一定期間の営業・マーケティング費用を、その活動から獲得した新規顧客数で割るのが基本です。ただし、費用を使った月と受注月にずれがあります。大企業向けと小規模顧客向けを混ぜると平均値が実態を隠すため、獲得チャネル・顧客層・契約時期をそろえます。

LTVには「平均顧客単価×粗利率÷売上チャーン率」など複数の簡便式がありますが、解約率が一定という前提や、拡張・値引き・サービス原価を十分反映しない場合があります。可能なら契約コホートごとの実績粗利と継続期間で確認します。

「LTV:CACは3:1なら正解」と固定しない

望ましい水準は成長段階、資金制約、回収期間、粗利、顧客層で変わります。比率だけでなくCAC回収月数、手元資金、NRR・GRR、顧客価値を合わせて判断します。

ダッシュボードへ定義を埋め込む

  • 経常収益に含める料金、一時費用、従量課金、返金、税の扱い
  • 月次・年次契約の正規化方法と為替レート
  • 新規、再開、拡張、縮小、解約の判定日
  • 顧客、契約、プロダクトのどの単位で数えるか
  • 期首コホート、観測期間、データ締め日、遅延修正の方法
  • 営業・マーケティング費用と人件費をCACへ含める範囲

経営目標へ使うときは、KPI・KGI・OKRで先行指標と最終成果を区別し、顧客体験はカスタマーサクセスとつなげます。

参考情報

最終確認日: 2026年8月31日。社内外へ数値を示す際は、指標定義と算定期間を併記してください。

スポンサーリンク