格差社会に関するQ&A

2010年03月31日 Q.質問
格差社会において、国民に機会の平等を提供するにはどうすれば良いと思いますか?また、同一労働、同一賃金を実現することは可能だと思いますか?格差社会の行方 橘木俊詔http://www.econ.osaka-cu.ac.jp/CREI/renzoku1_k1.pdf
2010年04月06日 A.回答
まず思いつくのは幼少期の貧困を根絶する事でしょうか。子は親を選べませんから、ここで将来の機会が閉ざされるとなれば究極の不平等と言わざるを得ません。こうした状況への処方箋として子育て世帯へ現金を手渡す子ども手当が発案されたのだと考えられますが、親がロクでもない事にお金を使って子供はネグレクトされるというような万一の事態を考え、使途を子育て関係に限定した養育・保育クーポンに変更した方がより良い案のような気もしますね。ちなみに先程別の回答で「公共事業はムダ」と批判したんですが、潜在的待機児童問題に見られるように都市部の保育施設は不足気味ですから、これらの建設を積極的に促進する事は社会的な要請にも適う「良い公共事業」だと考えられます。ただ保育施設の運営は公的な関与がきつく硬直的との批判があり、認可の有無によって補助金がばっさりカットされる状況が保育サービス享受の不平等を生んでいるようです。この補助金を先程の保育クーポン方式に変更すれば、認可の有無にかかわらず質の高いサービスを提供する業者に税金が投じられる結果になりますから、一つの案として検討に値するものだと思われます。行政は各保育施設の情報公開に徹し、不健全・不衛生なサービスが行われないか積極的に抜き打ち検査する、といった関与を重視すべきでしょう。その他の児童養護施設についても、こうした検査は一層強化していくべきだと思います。成年以降の機会確保については、同一労働同一賃金という形は余り適切な方針とは言えないような気がします。というのも、能力の違う個々の労働者について、本当に同一な労働かを判断する事が出来ないからですね。賃金よりも最終的な可処分所得の平等を重視すべきだと思います。その為の政府による税や社会保障を通じた所得再分配は、まだまだ強化する余地があります。橘木先生も度々指摘されるように、日本は所得税等を通じた所得再分配の効果が非常に弱く、またもう一つの再分配の柱である社会保障は、高齢者福祉にばかり偏っており、上で述べた子供の貧困や生活保護を受けるべき人々がワーキングプアやホームレスとして放置される現状が存在するからです。具体的な再分配政策としては、ベーシックインカムなども一部で提唱されているようですが、個人的には労働を前提として給付付き税額控除がよいと思います。現在の租税制度では一定の所得以下の人間は税を課されないだけで直接的な所得の押し上げは無きに等しい状態です。これを年収100万円稼いだら60万円、200万円稼いだら30万円、国が給付金を渡すという形にすれば、労働意欲を削がずに低所得層の生活を改善できますね。欧州は勿論アメリカでも導入されている所得分配制度です。納税者番号制度等、個人の所得把握を効率的に行うシステムの構築が必要ですが、所得が透明化すれば一部で問題視されて福祉政策への拒否感を強めてもいる不公正な福祉受給をブロックでき、また脱税の防止にもつながって、本当に必要な福祉への財源確保も進みます。ちなみに日本は、欧州連合の大陸諸国だけでなく。社会保障が相対的に弱体だとされる英国と比較してすら、社会保障支出の対GDP比は低いんですね。生活保護が必要な人に支給されている事を示すカバー率に至っては、日本は他の先進国の数分の一の水準、20%だと言われます。よってこうした現状の改善を共産主義だと批判する方には、いっそ国家がやるべき義務を放棄した状態であるソマリアやジンバブエ等に出向かれた方が満足な人生を送れるのではないか、とお勧めしたい思いがあります。雇用の機会確保については、デンマーク等で実践されているフレクシキュリティといった制度も参考になるでしょう。柔軟な雇用規制と手厚い公的職業訓練の提供があれば、所得不足から満足な自己啓発の機会も閉ざされ、いつまでも貧困から抜け出せない貧困の罠も抑制できるでしょう。またそれら全ての前提条件として、働きたい人が必要とされてその機会を確保でき、また税収の順調な増加によって財政問題の改善も進む、好景気の実現は何より必要です。デフレ不況を脱する為のリフレ政策は、何を置いても進めるべきでしょうね。以上、素人考えをダラダラ並べてみました。
 
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