量的緩和に関するQ&A
2012年01月14日
Q.質問
現在円高、超円高といわれるほど円買いが止まりませんがこれはアメリカのドルを多く刷ったものによる為替の需給によるものはご承知のとおりです。昨年も輸出企業を守るため為替介入を何度もしましたが一向に円高がとまりません。ここで質問です。日本銀行も量的緩和をして市中にある円の量をふやせばいいのではないのでしょうがなぜしないのでしょうか?具体的には円を刷り長期国債を買うことです。何かこれをすることによるデメリットがあるのでしょうか?ベストアンサーは合理的な回答とともに分かりやすいかたに差し上げます。よろしくお願いします。
2012年01月14日
A.回答
>なぜしないのでしょうか?こういう質問は頻繁に出てきますがそもそも質問の前提の部分で誤解があります。別に日銀を弁護するつもりはありませんが日銀が何もしていないというのは間違っているのです。例えば昨年の10月下旬に日銀は円高対策の一環として新たに国債を買い入れる資金を5兆円増額するという方針を決定して実施しています。要するに5兆円の紙幣を印刷して主に金融機関の持っている国債を買い入れることにより、市中に流れている紙幣の量を増やしたのです。http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK064674620111027円高対策を主眼とした量的緩和はこれだけではなくかなり頻繁に繰り返されています。そしてあまりにも頻繁に繰り返されているから大きく報道されず、貴方も含めて多くの人が量的緩和の実施を知らないということになるのだと思います。また円高対策を主な目的としたものではありませんが、東日本大震災で被害を受けた地域の金融機関や支店を有するメガバンクなどに対して震災復興の為に大きな資金需要が生ずることに対応して日銀は債券買い上げなどで何度かに渡って資金を何度もしかも札割れになるほどに供給しています。http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-20227920110324しかしこういったいわゆる量的緩和のニュースが流れても為替市場には殆ど影響がありません。アメリカとか欧州各国がギリシャの問題などに対応する為に量的緩和を実行すれば確かにドルやユーロは下落しましたが、円の場合には量的緩和に円高を抑制するような効果は期待出来ないのです。何故効果がないかと言えば、日本では1990年代のバブル崩壊以来、ずーっと金融緩和状態つまり紙幣を市場に出し続けている状態が続いているからです。ご承知のように日銀が紙幣を刷ってもそれを民間にタダでばら撒く訳ではありません。日銀は金融機関などの持っている債券などを買い入れるとか金融機関に融資するなどの方法で市中に流れる紙幣の量を増やすのです。そして銀行は得た資金を民間に融資することで民間に資金が流れていきます。しかしバブル崩壊以来不況で苦しむ民間には資金需要がありません。新規に事業を始めたり、事業を拡大して工場を作ろうなんていう人は滅多にいないのです。そして銀行だってお金を返せない人には融資が出来ません。だから日銀が紙幣を刷って金融機関に流しても金融機関から先に流れていかない糞詰まりになってしまうのです。銀行は仕方がないからまた国債でも買うということになります。要するにバブル崩壊以来、20年にも渡って金融緩和が続いている上に民間に資金需要が無いから新たに紙幣を印刷しても円高抑制の効果がないのです。ちなみに金融緩和には副作用もあって日本ではなく主に欧米で金融緩和の副作用として指摘されていることですがいわゆる投機マネーとなって物価の高騰など繋がります。例えば原油など資源価格の高騰は投機マネーが先物市場などに流れ込んだ結果と指摘されています。これ以上無理矢理にでも市場に流れる紙幣を増やそうとすれば俗に言うヘリコプターマネーしかありません。要するにヘリコプターから紙幣を撒くようにして市場にお金を流すしかありません。しかしこれはさすがに日銀のやることではないでしょう。やるとすれば政府ですが、政府が政府紙幣を発行して国民にばら撒くというのはモラルの崩壊です。一度でもやってしまえば政治家は自分の選挙が心配ですから必ず紙幣を発行しすぎて必ずハイパーインフレを招きます。愚かで強欲な国民だってタダでお金が貰えるとなれば大喜びするでしょうが、決して満足はしません。最初に10万円貰って何も悪いことが起こらなければもっとやれと強欲な要求を政治家に突きつけ、回数も金額もエスカレートして最終的に行き着く先は悲惨なハイパーインフレから日本経済の大崩壊です。適度な円安なんてあっという間に通り越して円が大暴落します。円が暴落すれば石油や食料などの海外から輸入に頼っている物資が高騰します。買い溜めや売り惜しみが物資の急激な不足に繋がってさらにインフレが進行し、餓死する人が続出しかねません。インフレは一度始まってしまうと止めるのが難しく、加速してしまう可能性が高いのです。そしてインフレになれば誰でも銀行から有り金を全て引き出して買い溜めをしよとか外貨を買って資産を守ろうと考えます。銀行に多くの人が預金を引き出そうとして押しかけ、資金を失った日本の銀行は残らず倒産し、民間企業も運転資金を失って道連れになります。つまり金融システムの崩壊が日本経済全体を破壊します。紙幣をもっと印刷しろなんて言うのは簡単ですが、そんなに簡単でもそんなに効果が期待出来るものでもありません。モラルを無視して無茶なことをやれば現在よりもずっと悲惨な日本になるでしょう。
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